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カテゴリー「ブランディング」

N°18 デザインにクリエイターの個性は必要ない

デザインに必要なのは、デザイナーの個性ではない。
そして、クライアント(依頼者)の好みを満たすことでもない。

要望、目的、ゴールを満たすことが最重要で、そのためにはクライアントの個性を引き出したり、目的にあわせて変化させる必要がある。

あなたが赤が好きで、クライアントが青が好きでも、目的を満たすためには黄色、ということがあるのだ。

美容師のあなたがショートカットが好きだからと言って誰にでもショートカットすすめるのではなく、似合うヘアスタイルにできてこそ、プロだ。これを美容業界では“似合わせ”と言う。

 

具体的にしよう。

あなたはパンク系ファッションが好きで、いつもモヒカンにボンデージパンツだ。アツシにもパンクは似合うんじゃないかと思う。(デザイナーの好み)
アツシはハードロックが好きで、バンドTシャツにジーンズというスタイルが多い。(クライアントの好み)

ここで服を選ぶと、少々パンクテイストが入りつつハードロックな雰囲気のものを選んでしまいそうだ。アツシが気にいってくれればよければそれでいいが、気に入らなければ、何度でも選びなおす必要がある。しかも、実はあまり似合ってない。

そこでターゲット。アツシは清楚で可憐な雰囲気のメグさんにアプローチしたいらしい。(ターゲット)
メグさんはまじめでありながらもユーモアのある男性が好きそうだ。(リサーチ)

となると、フォーマルな雰囲気がありながらも、小物やアクセサリーにはちょっとしたハズシを加えてみてはどうだろうか。(提案)
アツシ(クライアント)の好みではなく、あなた(デザイナー)の好みでもなく、メグさん(ターゲット)にもっとも近づけるような、そしてアツシのキャラクターと顔、体型にベストフィットする服を選ぶのだ。

恥ずかしがりながらも 試着してみると、アツシはまんざらでもないようだ。

その後、アツシがメグさんとうまくいくかどうかはわからないが、少なくともハードロックにパンクテイストを織り交ぜたファッションよりは可能性は高い。

美容業界の“似合わせ”はなかなか経験とセンスが必要そうだが、デザインはもう少し論理的に攻めることができる。

色を選ぶときも、その色の背景(バックボーン)を語ることができれば、選択に説得力が出る。
フォントも、レイアウトも、クライアントの要望の本質をとらえていれば、好みという人による誤差の大きいものではない部分で決定できる。

そうしてできたものは、クライアントの個性(らしさ)になり、デザイナーの個性が多少残っているのも、それはそれでOKだ。

 

N°16 ターゲットを絞る

絞り込むことが重要であることは、自己啓発やマーケティング、ビジネスに興味がある人は大抵知っているだろう。具体的なターゲットをイメージしながらデザインをすると、デザインにマニアックさや深みが出て、ダイレクトに響くものになる。デザインにおいてターゲット選定は必須だ。

しかし、なかなかできていないのではないだろうか。

絞り込むということは、それ以外を捨てるということだ。それには、数ある選択肢の中からひとつを選ばなければならない。そして、ひとつを選ぶには、確固たる信念、あるいは決心が必要になる。

たとえば、何か商品を開発するとき、年齢層も所得もさまざまな多種多様な人をターゲットにしたくなる。
そこには、いろんな可能性がある、と思いがちだ。しかし、ユーザー目線に立ってみると、そんな曖昧なターゲットの商品が魅力的だろうか? そもそも、そんな商品があるだろうか?

あなたの身の回りにあるものすべての商品はターゲットが絞られているはずだ。
誰もが食べているお米を例に見ても、高級なブランド米と低価格なノーブランド品ではターゲットが違う。販売店も違う。

ターゲットを絞ったつもりでも、女子高生やサラリーマン、というくらいでは絞れていない。女子高生にもサラリーマンにもいろいろある。電車で通うまじめな女子高生と、egg系ギャルでは違うし、家族第一のマイホームパパなサラリーマンと、輸入車が好きな独身サラリーマンではかなり違う。
年齢で絞れる場合もあるが、趣味でしぼったほうがいい場合も多い。

 

では、どうやってターゲットを絞り込むかというと、自社(クライアント)の得意分野から伸ばすのがいい。客観的に見た強みや個性も大事だ。

無骨なバイカーのライフスタイルをウリとしているハーレーダビッドソンが、カジュアルラインやガーリーポップなラインを出したら、ブランドイメージを壊すことになる。
吉野家が富裕層向けの5,000円以上の高級牛丼を出しても売れないだろう。

自社(クライアント)の強みを知り、それに呼応する顧客ターゲットを絞り、デザインに活かす。

Jack of all trades, master of none.-多芸は無芸-
昔から言われてることだね。