N°18 デザインにクリエイターの個性は必要ない
Posted by daisco on : 2011.12.23. 00:13:20

デザインに必要なのは、デザイナーの個性ではない。
そして、クライアント(依頼者)の好みを満たすことでもない。
要望、目的、ゴールを満たすことが最重要で、そのためにはクライアントの個性を引き出したり、目的にあわせて変化させる必要がある。
あなたが赤が好きで、クライアントが青が好きでも、目的を満たすためには黄色、ということがあるのだ。
美容師のあなたがショートカットが好きだからと言って誰にでもショートカットすすめるのではなく、似合うヘアスタイルにできてこそ、プロだ。これを美容業界では“似合わせ”と言う。
具体的にしよう。
あなたはパンク系ファッションが好きで、いつもモヒカンにボンデージパンツだ。アツシにもパンクは似合うんじゃないかと思う。(デザイナーの好み)
アツシはハードロックが好きで、バンドTシャツにジーンズというスタイルが多い。(クライアントの好み)
ここで服を選ぶと、少々パンクテイストが入りつつハードロックな雰囲気のものを選んでしまいそうだ。アツシが気にいってくれればよければそれでいいが、気に入らなければ、何度でも選びなおす必要がある。しかも、実はあまり似合ってない。
そこでターゲット。アツシは清楚で可憐な雰囲気のメグさんにアプローチしたいらしい。(ターゲット)
メグさんはまじめでありながらもユーモアのある男性が好きそうだ。(リサーチ)
となると、フォーマルな雰囲気がありながらも、小物やアクセサリーにはちょっとしたハズシを加えてみてはどうだろうか。(提案)
アツシ(クライアント)の好みではなく、あなた(デザイナー)の好みでもなく、メグさん(ターゲット)にもっとも近づけるような、そしてアツシのキャラクターと顔、体型にベストフィットする服を選ぶのだ。
恥ずかしがりながらも 試着してみると、アツシはまんざらでもないようだ。
その後、アツシがメグさんとうまくいくかどうかはわからないが、少なくともハードロックにパンクテイストを織り交ぜたファッションよりは可能性は高い。
美容業界の“似合わせ”はなかなか経験とセンスが必要そうだが、デザインはもう少し論理的に攻めることができる。
色を選ぶときも、その色の背景(バックボーン)を語ることができれば、選択に説得力が出る。
フォントも、レイアウトも、クライアントの要望の本質をとらえていれば、好みという人による誤差の大きいものではない部分で決定できる。
そうしてできたものは、クライアントの個性(らしさ)になり、デザイナーの個性が多少残っているのも、それはそれでOKだ。



